ピアノは生きている~「響きを聴くレッスン」のために

 

ピアノの音は、どうやって鳴るかご存知でしょうか。

 

体験レッスンに来られたお子さんには、

ピアノの「音の鳴るしくみ」のお話を聞きながら、

ピアノの蓋の中を見ながら、音を聴いてもらいます。

 

ピアノは、鍵盤を指で触って音を出しますが、

音が鳴っているのは「弦」です。

鍵盤からつながった「ハンマー」が、てこの原理で弦を打ち、音が鳴ります。

 

ハンマーは木でできていますが、

その先には、

羊の毛でできたフェルトが、付けられています。

だから、金属の弦がやわらかい音を出すのです。

 

鍵盤を触る指が、どんなふうに下ろされるかによって、

音質や音色が変わってくるのです。

 

指先がハンマー、弦まで、

つながって感じられるといいなと思います。

 

ピアノは、

「弾きかた」で、出る音が変わってくるだけではありません。

 

弾く人が「どう弾くか」によって、

ピアノという楽器じたいの状態が、変わってくるのです!

 

つまり、乱暴に弾くと、

ピアノは調律も狂う。

それだけでなく、ピアノじたいの音質が乱れてしまいます。

 

奏法が良い状態で弾く人のピアノは、

音もよい。

逆に、癖のある弾きかたで弾かれたピアノは音も変わってしまいます。

 

とても繊細な楽器なんですね。

 

 

私が教室に来る生徒さんに、

絶対にきつく叩いて弾かない!!

ということだけは、

小さい子にも大きい子にも、最初からきっちり伝えているのは、

そのためなのです。

 

一般的にですが、園や学校に置いてあるピアノは

そんなに丁寧に扱われていませんし、

「ピアノは叩くもの」と思っておられる方も多かったりします。

 

(実際は叩いて弾くと、単にうるさく、それでいて遠くまで響かないのです。)

 

空間で倍音の響く、美しい生のピアノの音。

お子さんでも保護者さんでも、

聴いていただいたら気づいていただけます。

 

お部屋にどの場所に置くかや、

室内に置いている物、

敷物やカーテン、本棚、

そんないろいろなことも、音に影響があります。

 

また、ピアノはほとんどが木でできています。

気温や湿度の影響も受けやすい、

とてもデリケートなものです。

 

ピアノの部屋は、除湿機で湿度管理していますが、

季節ごとの差に悩まされることもあります。

 

教室の発表会では、必ず本番前に調律していただくのも、

いい状態で本番を迎えてもらいたいからです。

 

ピアノという楽器の状態、お部屋の状態、

そして弾きかた。

 

これらがそろっていることを、まず優先して気を配っています。

 私も、先生にたくさん教わりながら、

そして調律師さんにお世話になりながら…。

 

音響を考えたお部屋に置かれ、

調律師さんに音色まで整えていただいたピアノが、

よい奏法で弾かれるとき。

 

ピアノも喜んで美しい音を出してくれます。

そして、「どう弾いたらよりよいか」を、

ピアノが、私に教えてくれるように感じます。

 

ピアノという楽器を大事に育て、

 ピアノに育てられるのです。