ピアノと身体(奏法)

[聴く人の心を動かす演奏、イメージどおりの演奏をするには…?]

 

それは、ひとことで言うと、「身体の意識の感性を磨く」こと。

 

「講師紹介」でも書いた、私の探求でつかんだ「ピアノと身体」についての要点を紹介します。 

 

[目次] 

  ★身体の意識とは?

  ★合理的に演奏できるためには?

    1、意識を伸ばす 

    2、指先に集中

    3、リラックス

    4、身体の「軸」

    5、弦が響くポイントを打つ 

 

   ★身体の感性を磨くということは、自分で感じて動ける力

   ★初歩、導入からお伝えしています

   ★大人でも可能性に制限はない

   ★聴く人の心を動かす演奏=弾く人に喜びと楽しさがある

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   「どうすれば、思うように身体が動くのか。」

   「どうすれば、ラクに弾けるのか。」

   「イメージ通りの演奏をするには?」

   「美しい音を出すには?」…そういった疑問から、探求をはじめました。

 

答えは。

ひとことで言うと、「身体の意識の感性を磨く」ということです。

レッスンでは、全ての人にそれを目指せるようご指導いたします。

 

「身体の意識」ってどういうこと? 

 

身体を動かすのは「意識」です。

ここで言う意識というのは、はっきりとした「意識的」なものから、通常はっきり自覚していない「無意識」を含めた身体の感覚全部を指します。

身体の意識は、人によって、また身体の部位によって、濃さも薄さも、状態も変わってきます。

また動きは、身についた習慣が大きくかかわってきます。

何かの動きをするのにも、楽にできるかしんどいか、美しくできるかそうでないかは、身体の「動きの組織化」が合理的にできているか、そうでないかによってきます。

 

 

それでは、ピアノ演奏が合理的にでき、美しい音が出せる状態は、どんな状態でしょうか。

 

私の考える[基本的な動き]について、私の言葉で、書いてみます。

 

1、「身体の意識」は、身体の外まで伸びることができます。

 

ピアノの音の鳴るしくみは、

鍵盤からハンマーにつながり、「てこの原理」で、それが弦に当たり、音が出る

というものです。

指先が鍵盤をコントロールするのによい状態は、

指からハンマー、弦までがつながったイメージが持てていること

身体の意識が、弦まで伸びでいる状態です。

 

身体の意識は、身体の外まで伸びることができます。

剣術の達人が刀を持つ手の意識は刀の先、もっと先まで伸びていると思われます。

何か物を扱うのが上手な人は、手からその物の先まで意識が伸びているということです。

 

2、身体の中の意識では、指先が「濃い」。

 そして、動きのフィードバックは「音」

 

ピアノの場合、指先で鍵盤に触れるので、指先の意識が濃く、そこに集中している状態です。

演奏で表現したいイメージを指先に伝えるとき、「音」がその動きのフィードバックになってきます。音を聴き、微調整しながら実際の音楽にしていくわけです。

 

3、指先のコントロールをするためには、「リラックス」、

 そして余分な動きをなくす

 

表現したいイメージを音にするのは、実際には指先のコントロールです。

腕や手首、指も余分な力を抜いて、リラックスさせていることが大切です。

これらは、そこを動かして指をコントロールするのではなく、指先の動きについていっているように考えると、余分な動きが排除されていくと思います。

 

身体はつがなっているので、真に余分な力を抜いてリラックス(脱力)ができていれば、「動きの響き」が身体のほかの部分へと、自然と伝わります

それが自然な動きです。

 

4、姿勢は「軸」が大事、

 「構え」は水が流れるように自然に

 

リラックスすべきなのは、手や腕だけでなく、全身です。

姿勢も大事で、基本はハラ(下腹)がどっしりと安定して座る感じです。

武道でいう「軸」、スポーツでいうと「センター」ができる姿勢です。

 

鍵盤に置く「構え」は、腕から指先に自然に水が流れるような感じにします。

 

5、打鍵の理想的な指の動きは、「弦の響くポイントを打つ」

 

ピアノの鍵盤の中に、ハンマーが弦を叩くときに、一番よく響くポイント(=打点)があります。そのポイントをねらって、押さえつけずにコーンと打つ感じで、響かせる感覚です。

このとき、鍵盤の遠くから叩くと音が悪くなります鍵盤にさわって打鍵するといい音が出ます。

 

以上が基本的なことですが、実際に曲を演奏するときは、音楽的表現のための動きが必要となってきます。

楽曲の解釈をもとにして、たとえばこのスラーはどう弾くか、ここのスタッカートは、和音は…といったふうにです。

 

「身体の意識の感性を磨く」とは、

ピアノと自分の身体とで対話しながら、表現したいイメージによって動ける感性だと言えます。

 

なぜ「身体の感性を磨く」という言葉になるのか。それは、

演奏者が自分で感じて自分で動きを選んでいく」ことを目指しているから。

それは、指導者が言ったことをそのままやるというのではなく、自分で知覚して、自分で表現していくことです。

 

 

当然、難しい曲を弾くときは、理想の身体の動きが難しくなってしまうのですが、その人にとって易しい曲を弾くときに、それができるかどうかが、重要です

 

楽譜をなぞって弾くだけの習慣が身について、難しい譜を弾けても、何かうまくいかない、思い通り弾けないという場合は、まず「癖」を取っていくことからしていかなければならないのです。癖は、余分に筋肉を緊張させることを含みます。

 

 

ピアノの初歩、楽譜も読まない導入の段階から、身体の動きについてはお伝えしていく、ということが私の教育理念のひとつとなっています。

 

しかしまた一方、大人になってからでも、余分な筋肉の緊張を取って、身体の癖を取って自然な動きを体得していく、ということの可能性に制限はない、と思っています。脳の回路はいくらでも開発できるそうです。それはまず、「氣づき」が大元となります。「氣づき」のお手伝いをしていきます。

 

 

実際のレッスンでは、たとえば

 

「ピアノを弾く」となると、指以外の部分をかためてしまいがちになったりします。そこで、手首や腕、肩など、ちょっと私がさわってあげて、身体に氣づかせてあげます。

 

また、意識が鍵盤で止まっている状態と、その先まで伸びている状態とでこんなふうに音が変わりますよ、と弾いて音を聴いてもらったりもします。

 

鍵盤の押さえ方が浅いと、音が「浮いて」しまいますが、逆に底まで押さえつけすぎると響きがよくありません。

「ちょうどよい打点をねらってコーンと打つ」ことを体感してもらうために、金属製の小さな楽器、グロッケン(下の写真)を鳴らしてもらったりもします。もちろん、ピアノの音の変化も聴いてもらいます。

 

軸が崩れたり、ハラの支えが抜けると、心身統一合氣道で教わる身体のテストがわかりやすいので、やってみたりもします。

 

お子さんのレッスンでは、難しい言葉は使いません。大人のような意識化がされなくても、もともとやわらかいので、筋肉を余分に緊張させてかためる癖がつかないよう、特に氣を配ります。

いい音で弾ける感覚を繰り返し体感しながら、上達ができるよう配慮します。

 

特に低学年のお子さんのレッスンでは、説明的な言葉を使わなくても、たのしい遊びの中から奏法を身に付けることができます。

鍵盤の上で、動物になったり、即興的なあそびの動きの音を出したり…それが、自然な動きを身に付けることになります。 

 

なんといっても心の「緊張」が身体の筋肉の緊張も生みます。リラックスして楽しむのがいいですね!

 

 

面白く、楽しい道のり

 

文章にしてお読みいただくと、ピアノのご経験のない方には、「身体の意識の感性を磨く」ということは、大変で、わかりにくいことだと感じられるでしょうか。

実際、ピアノは練習、訓練が必要なことです。

しかし、「弾いていて楽しい」、「きもちいい」、また聴く人の心を動かす演奏というものは、

必ず演奏者の身体の意識がいい状態だと思うのです。

 

ですから、その練習の道のりは、「ただ楽譜どおりに弾く」といったこととは桁違いの面白さ、楽しさがあるものです。

 

 

ブログのカテゴリ「ピアノと身体」にも、ホームページで伝えきれないことを詳しく書いています。ぜひ、お読みください。